読者の間でささやかれているベルモットいい人説。
コナンや蘭には、助けられた恩と自分の考えを変えてくれるほどの力を感じ、
何かしらの期待を込めている為、彼らには危害を加えないことは事実。
しかしそれ以外で彼女は本当に「いい人」だと言えるのか?
悪事に手を染める組織の一員として、今まで何人もの人間を手にかけてきたことも想像できる。
しかし、一見冷酷な行動をとっているかのように見えて、
裏を返せば彼女は誰も殺めていない、という推理もできる。
そんなベルモットいい人説を立証できる行動を見てみよう。
ベルモットはいい人?悪い人?
新出先生に変装し周囲に親切にしていた
新出先生:「僕に変装していたその人って・・・本当に・・・本当に・・・悪い人だったんですか?」
新出先生に変装している間、自分には全く関係のない周囲の人間にも優しく接していたベルモット。
組織と関係のないところで善行を施していたのは、ジョディの言うように新出先生の性格をコピーしていたからか、本当は優しい心の持ち主なのか・・・
ジョディ:「笑って人を殺すような人に、いい人なんているわけないじゃない!!」
ジョディ:「そう・・・あの女はあなたに成り済ますために、あなたの性格をトレースしていただけ。恐ろしいほど忠実に・・・」
このシーンは一見、
ベルモットが過去にジョディの父親を殺した事実と、
笑いながら人を殺せる極悪人・・・
そして目的のためなら完ぺきに相手に成りすまし、忠実にいい人を演じ切る・・・
というベルモットの恐ろしさを感じさせる描写。
しかし、裏を返してみると、
わざわざこのシーンを作者が描いたのは
ただ単にベルモットの恐ろしさを伝えたいだけではないように思える。
根っからの善人である新出先生が感じたベルモットの優しさ。
悪人に見せかけて実は善人と思わせる描写。
というか、明らかに読者に
「ベルモットは実はいい人」
という印象を分かりやすく説明している。
ミスリードの可能性もあるが、
悪人→実はいい人?→やっぱり悪人!
なんていう展開は漫画的にも面白くないので
展開としては可能性は低い。
ベルモットを憎むジョディの批判的な考えと、
何も知らない新出先生が純粋に感じた直感的な考え。
どちらかと言えばベルモットに対して固定観念の少ない新出先生の意見がフェアな印象に感じる。
ちなみにジョディの父親が殺された事件を考察してみよう。
ジョディの父親は本当にベルモットに殺害されたのか?
ジョディの回想シーンではベルモットらしき人物(顔はちゃんと見えていない)
が、ジョディの父親のメガネを掴み、
ベルモットのお気に入りの
「A secret makes a woman woman」
と言うセリフを言っている。
そしてベルモットの指紋と一致したことも含めると、
普通に考えたらこの事件はベルモットがジョディの父親を殺害したことになる。
しかし、よく考えると不可解な点もある。
・まずベルモットの顔がしっかりと描かれていない。
これはまさかの別人説、共犯説も考えられ、ベルモットがジョディの父親を殺害したのではなく、もうひとりの人物が犯行に及んだとも考えられる。
このシリーズでジョディの幼少期を灰原と同じ髪型に似せ、読者にミスリードを誘った作者のやり方からして、この説はあってもおかしくはない。
・なぜベルモットは素手でメガネを触ったのか?
不自然に落ちていたメガネを直そうとしたからといって、
ベルモットほどの能力の持ち主が指紋を残すというミスを犯すのは考えにくい。
何らかの理由でわざと残したのか、放火するから証拠は残らないと踏んだのか。
結局、この回想シーンは幼い頃のジョディの記憶でしかないため、
ベルモット目線での回想シーンがない限り、本当は何が起こったのかは分からない。
例えばベルモットいい人説をゴリ押しするなら、
ベルモットは殺害には反対だったが共犯者が強行してしまった、とか、
後付けでいろいろ考えることはできる。
・ベルモットの口癖で正体がバレた件
これはかなりツッコミたい案件。
なぜベルモットはお気に入りのセリフだからと言って、
わざわざ正体がバレるようなお決まりのセリフ
「A secret makes a woman woman」
を使ったのか?
こんな印象的なセリフを被害者のジョディやメディアの前でペラペラしゃべってたら絶対にバレるだろw
組織の主要人物であるベルモットがこんなかたちで正体がバレるってけっこうマヌケでは。
深読みするとしたら、
メガネの指紋も、この口癖もわざとバレるように仕向けたとかも考えられる。
ただ単に、ジョディも火事に巻き込まれるから関係ないと思ったとしても、
生き延びる可能性もあるし、燃やすんならメガネの落ち方とかも直さなくていいだろ。
このへんは本当の真相があるとしたら今後新たな回想シーンが出てくることを期待したい。
まとめると、
ジョディはベルモットに父親を殺害されたと思っているが、
実際にはベルモットは自分がやったという発言はしていない。
回想シーンもジョディの記憶のため、真実かどうかは分からない。
ベルモットがジョディの父親を殺害したシーンは登場しない。
ベルモットいい人説を押すならば、この事件には何か別の真実が隠されているかもしれない。
カルバドスがベルモットに見殺しにされた件
コルン:「あいつ、カルバドスを見殺しにした。カルバドスがベルモットを好きだと知っていて利用した・・・」
42巻、二元ミステリー編にて、埠頭の銃撃戦でカルバドスが死んでしまった件。
これについてはベルモットがカルバドスを見殺しにした、と組織の仲間からベルモットは恨まれている様子だが、
正しくは、
カルバドスはベルモットに惚れていたため、自らの意志で協力した。
ベルモットが赤井に追い詰められ、車でその場から逃走し、
赤井に足を折られ逃げられないと判断したカルバドスは自ら自決した。
が正解。
見殺しにした、利用した、と言われればそれまでだが、
状況的にはベルモットがわざと殺したわけでもないため、「殺人を犯す悪い奴」認定にはならない。
ベルモットのいい人説は本当か?
というわけで他にもベルモットの登場シーンはたくさんあるため、
必ずしも「いい人」であるとは断定はできない。
けれどコナンの事をシルバーブレットと名付け組織をつぶせるかのように考えていることや、
冷酷そうに見えて今のところ確実に人を殺害した描写はひとつもない。
むしろ無駄な犠牲を止めたり、そうなるように仕向けたりするシーンも多いため、
ベルモットのいい人説は多くの読者が望んでしまう。
真相はクライマックスに近づかないと分からないが、
コナンや蘭に出会って人間としての道徳心や価値観が変化したことは間違いない。
名探偵コナン 42巻
名探偵コナンvs.黒ずくめの男達 PART3 (少年サンデーコミックススペシャル)